
06 Jul 2020
2020年第1四半期 世界/日本ウェアラブルデバイス市場規模を発表
Japan, 2020年7月6日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年第1四半期(1月~3月)のウェアラブルデバイスの世界および日本における出荷台数を発表しました。
IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q1」のデータに基づくと、2020年第1四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比29.7%増の7,258万台となりました。このうち、腕時計型は1,692万台の出荷で前年同期比7.1%の減少、リストバンド型は1,524万台の出荷で前年同期比16.2%の増加となり、耳装着型デバイス(音声アシスタント対応イヤフォン・ヘッドフォンなど)は3,987万台で前年同期比68.3%の成長となりました。耳装着型デバイスは市場全体の54.9%を占めています。
「COVID-19が市場の抑制要因として働いたにもかかわらず、耳装着デバイスはそれからの立ち直りを示した」とIDC Mobile Device Trackerのリサーチマネージャー、ジテシュ・ウブラニは述べています。そして「消費者の多くは在宅勤務を余儀なくされ、スマートフォンやスマートアシスタントと接続したまま周囲の騒音を低減する方法を模索していた。そのため、オーディオ再生機能だけでなく、生産性向上にも役立つこれらの洗練された耳装着型デバイスへのニーズが高まったといえる」と述べています。
また、COVID-19の拡散は、スマートウォッチやベーシックウォッチのようなスマートフォンやPCと部品やリソースを共有しているウェアラブルデバイスの供給にも悪影響を及ぼし、2020年の第1四半期は腕時計カテゴリーの出荷台数が減少する結果となりました。にもかかわらず、Huawei、Garmin、Huamiなどの一部のベンダーは、中国市場への依存度を低めたことや、米国、欧州、その他アジア地域へのさらなる展開を進めたことにより、健全な成長を維持しています。
「時計型デバイスの押し下げ圧力は2020年後半にシフトするとみられる」とIDCのウェアラブルデバイスチームのリサーチディレクター、レイモン・リャマスは述べています。これに続けて「これにより、企業は製品やメッセージングを洗練させ、顧客のニーズに合わせる時間を確保することができる。今日の状況では、総合的な健康とフィットネスの機能が非常に重視されているため、ベンダーはこれらの機能を強調し、より健康的な生活を送るためのガイダンスを提供するのが良いだろう」としています。
また、Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q1では、日本国内のウェアラブルデバイス出荷台数についても公表しています。
同Trackerの2020年第1四半期データによりますと、日本国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で165.9万台となり、前年同期比60.3%の増加となりました。腕時計型デバイスは27.7万台で前年同期比58.5%増、リストバンド型は13.2万台で前年同期比136.5%、耳装着型デバイスは115.1万台で前年同期比63.6%増となりました。
「店舗の閉店や外出自粛などが本格化していなかった2020年第1四半期は、各デバイスともに安定的な成長を実現できた」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓 はコメントしています。さらに「第2四半期はCOVID-19の影響が懸念されるものの、全体としてウェアラブルデバイス市場は着実な成長を続けている」と述べています。
トップ5カンパニーの動向(世界市場)
アップルはシェア29.3%、2,124万台で再びウェアラブルのトップとなりました。Apple Watchの出荷台数はサプライチェーンの問題で減少したものの、BeatsやAirpodsのラインナップの強さがマイナス成長を補いました。
Xiaomiはリストバンドとウォッチが合計734万台の出荷となり、2位に入りました。同社は中国国外への進出と、流通を小売店からオンラインおよびオフラインの小売店にシフトしたことが相まって、他のほとんどのブランドよりも好調にリードを維持することができました。
サムスンは第3位で、第1四半期の総出荷台数の74.0%を占める耳装着型デバイス事業が19年第1四半期の58.9%から増加したことから、第3位にランクインしました。最新世代の「Galaxy Buds」と「Buds+」は、両モデルの四半期の出荷台数が400万台を超えるなど、高い評価を得ています。
Huaweiはその子会社であるHonorもあわせて4位をとなりました。強力なオンラインプレゼンスと小売店との緊密な関係のおかげで、COVID-19によるロックダウンにもかかわらず中国での成長を達成しました。中国以外でも、同社はヨーロッパ、ラテンアメリカ、その他のアジア市場での成長に成功しましたが、複数の国からの政治的圧力のため、これらの市場での長期的な成功には疑問が残ります。
Fitbitは5位に入りましたが、同社の生産の多くが中国を拠点としていたため、第1四半期には26.1%の減少となりました。同社は、ウェアラブル分野の主要ブランドの一つとして残っており、有望な技術とともに大規模なユーザーベースを持っていますが、この市場でのアップルやサムスンなどの強力な競合は、同社の成長力を抑制しています。
今回の発表はIDCが発行する「IDC Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q1」にその詳細が報告されています。
※「カンパニー」とは、IDCの調査レポート期間において、期間内に発生した買収・統合の結果を反映する財務・法務的な企業ないし企業グループを指します。IDCではあたかもこの企業グループが過去全ての調査期間に渡って存在していたかのごとく取り扱います。こうすることで、買収・統合前後の成長率などのトレンド分析が簡単、明瞭になります。なお、カンパニーにはOwnershipが含まれますが、持ち株会社のように実質的に事業を行っていない会社は、除外します。
※本プレスリリースは2020年5月28日の米国IDC(マサチューセッツ州 フラミンガム)による発表の日本語訳の抄訳をベースとしています。
<参考資料>
2020年第1四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率
Company | 2020年第1四半期出荷台数 | 2020年第1四半期 市場シェア | 2019年第1四半期出荷台数 | 2019年第1四半期 市場シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 21.2 | 29.3% | 13.3 | 23.7% | 59.9% |
2. Xiaomi | 10.1 | 14.0% | 6.5 | 11.6% | 56.4% |
3. Samsung | 8.6 | 11.9% | 5.0 | 9.0% | 71.7% |
4. Huawei | 8.1 | 11.1% | 5.0 | 8.9% | 62.2% |
5. Fitbit | 2.2 | 3.0% | 2.9 | 5.2% | -26.1% |
Others | 22.3 | 30.8% | 23.3 | 41.6% | -4.0% |
Total | 72.6 | 100.0% | 56.0 | 100.0% | 29.7% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 7/2020
2020年第1四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率(腕時計型のみ)
Company | 2020年第1四半期出荷台数 | 2020年第1四半期 市場シェア | 2019年第1四半期出荷台数 | 2019年第1四半期 市場シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 4.5 | 26.8% | 4.6 | 25.4% | -2.2% |
2. Huawei | 2.6 | 15.2% | 1.2 | 6.4% | 118.5% |
3. Samsung | 1.8 | 10.8% | 2.0 | 10.8% | -7.2% |
4. Garmin | 1.3 | 7.5% | 1.0 | 5.3% | 31.7% |
5. Huami | 1.0 | 5.8% | 0.5 | 3.0% | 80.2% |
6. Others | 5.7 | 33.9% | 8.9 | 49.0% | -35.7% |
TOTAL | 16.9 | 100.0% | 18.2 | 100.0% | -7.1% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 7/2020
2020年第1四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率
Company | 2020年第1四半期出荷台数 | 2020年第1四半期 市場シェア | 2019年第1四半期出荷台数 | 2019年第1四半期 市場シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 109.6 | 66.0% | 49.0 | 47.3% | 123.8% |
2. Sony | 12.9 | 7.8% | 2.2 | 2.2% | 474.6% |
3. Samsung | 8.9 | 5.4% | 3.7 | 3.6% | 142.3% |
4. Huawei | 6.1 | 3.7% | 0.7 | 0.7% | 784.6% |
5. Garmin | 5.8 | 3.5% | 5.9 | 5.7% | -1.8% |
Others | 22.6 | 13.7% | 42.0 | 40.6% | -46.1% |
Total | 165.9 | 100.0% | 103.5 | 100.0% | 60.3% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 7/2020
2020年第1四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率(腕時計型のみ)
Company | 2020年第1四半期出荷台数 | 2020年第1四半期 市場シェア | 2019年第1四半期出荷台数 | 2019年第1四半期 市場シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 18.7 | 67.6% | 9.3 | 53.6% | 100.2% |
2. Garmin | 4.7 | 17.0% | 4.9 | 28.1% | -4.2% |
3. Huawei | 1.5 | 5.4% | 0.2 | 1.4% | 510.0% |
4. Casio | 0.8 | 2.7% | 0.4 | 2.5% | 71.2% |
5. Fitbit | 0.7 | 2.7% | 0.6 | 3.4% | 25.5% |
Others | 1.3 | 4.6% | 1.9 | 11.0% | -34.1% |
Total | 27.7 | 100.0% | 17.5 | 100.0% | 58.5% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 7/2020
Coverage
Companies Covered
Garmin Ltd., Fitbit Inc., Huawei Technologies Co., Ltd., Xiaomi Inc., Casio Computer Co., Ltd., Huami Corporation, Apple Inc., Samsung, Sony Corporation