
16 Sep 2020
2020年第2四半期 世界/国内ウェアラブルデバイス市場規模を発表
Japan, 2020年9月16日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年第2四半期(4月~6月)のウェアラブルデバイスの世界および国内における出荷台数を発表しました。
IDCが発行するWorldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q2のデータでは、2020年第2四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比14.1%増の8,616万台となりました。このうち、腕時計型は1,919万台で前年同期比1.3%の減少、リストバンド型は1,453万台の出荷で前年同期比8.2%の減少となり、耳装着型デバイス(音声アシスタント対応イヤフォン・ヘッドフォンなど)は5,201万台で前年同期比32.6%の成長となりました。耳装着型デバイスは市場全体の60.4%を占めています。
「耳装着デバイスはスマートウォッチやフィットネストラッカーよりもはるかに強力で幅広い需要を示している」と米国IDC コンシューマー・テクノロジー・ストラテジー・サービスのリサーチ・バイス・プレジデントであるデイビッド・マイラーは述べています。IDCの米国コンシューマー・テクノロジー購入指数調査のデータによると、米国の消費者の自己申告による耳装着型デバイスへの支出は、2019年第4四半期から2020年7月(第3四半期初頭)にかけて増加し、4月では米国コンシューマー・テクノロジー購入指数調査全体の平均を7%上回りました。スマートウォッチとフィットネストラッカーの自己申告額は約3分の1に減少しました。これを受けてデイビッド・マイラーは、「このデータを見ると、スマートウォッチとフィットネストラッカーの購入がどれほど周囲の経済的要因の影響を受けやすいものであるかが明らかになっている。低所得者層の需要はほぼ完全に枯渇した一方で、市場の上位に位置する消費者は依然として購入意欲が強気である」と述べています。
また、「世界中では、多くの組織がCOVID-19との戦いを支援するためにウェアラブルを使用し始めている」と米国IDC Mobile Device Tracker のリサーチマネージャー ジテシュ・ウブラニ は述べています。これに続けて「ウェアラブルは症状の追跡に使われるだけでなく、ソーシャル・ディスタンス(社会的な距離)が保たれていない場合に着用者に警告するためにも使われている」としています。
また、Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q2では、国内のウェアラブルデバイス出荷台数についても公表しています。国内の2020年第2四半期のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で140.6万台となり、前年同期比8.1%の増加となりました。腕時計型デバイスは19.3万台で前年同期比6.9%減、リストバンド型は11.0万台で前年同期比54.0%増、耳装着型デバイスは104.2万台で前年同期比17.5%増となりました。
「緊急事態宣言により店舗の休業や外出自粛などが本格化していた2020年第2四半期は、市場の成長が鈍化、デバイスによってはマイナス成長に陥った」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓 はコメントしています。さらに「ウェアラブルデバイス市場は着実な成長を続けているが、新型コロナウイルス感染症がもたらしたニューノーマルの生活環境においては、ウェアラブルデバイスの新たな用途を模索する必要があるだろう」と述べています。
製品カテゴリー別の動向(世界市場)
耳装着型デバイスは今四半期、前年同期比32.6%増となり、ウェアラブル全体の60.4%を占めました。アップルはAirpodsとBeats製品を2,367万台出荷し、サムスンとXiaomiがこれに続きました。このカテゴリーは引き続きスマートフォンブランドが支配していますが、ソニー、ボーズ、Jabraなどの伝統的なヘッドフォンメーカーは下位に位置しつつも、市場のプレミアムエンドに焦点を当てています。このカテゴリーのデバイスは、自宅で仕事や学習をしながら、さまざまなデバイスやサービスとの接続を保ちつつプライバシーを維持するという用途でのニーズがあるため、引き続き人気があります。
腕時計とリストバンドは全出荷量の39.2%を占め、2019年第2四半期の46.8%から減少しました。これらのデバイスを合わせた出荷台数は、前年比4.4%減の3,372万台となりました。トップベンダーであるアップル、Huawei、Xiaomiがシェアと優位性を獲得した一方で、他の多くのベンダーは、景気低迷時にこれらのデバイスが「必需品」であることを消費者に説得するのに苦労しました。しかし、Fitbitのようないくつかのブランドが疾病症状の検出に投資している一方で、サムスンに代表される他のブランドは、ソーシャル・ディスタンスを保つために着用者間の物理的な距離を追跡するウェアラブルを展開しているため、ポジティブな兆しも見られます。
クリップオンデバイスやコネクテッド・ウェアラブルなどのその他のウェアラブルは、前年同期比58.7%の減少となり、当四半期の実績は芳しくありませんでした。1つの明るい点はOuraで、これは最近NBAがパンデミック時に選手の健康状態を追跡するために採用したものです。展開は比較的小規模で、その有効性はまだ証明されていませんが、それにもかかわらず、ウェアラブル全体への注目を集めることに成功しており、このカテゴリー全体の短期的な上昇につながる可能性があります。
今回の発表はIDCが発行するIDC Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q2にその詳細が報告されています。
※「カンパニー」とは、IDCの調査レポート期間において、期間内に発生した買収・統合の結果を反映する財務・法務的な企業ないし企業グループを指します。IDCではあたかもこの企業グループが過去全ての調査期間に渡って存在していたかのごとく取り扱います。こうすることで、買収・統合前後の成長率などのトレンド分析が簡単、明瞭になります。なお、カンパニーにはOwnershipが含まれますが、持ち株会社のように実質的に事業を行っていない会社は、除外します。
※ IDCの定義では、耳装着型デバイスがウェアラブルとみなされるためには、スマートアシスタント、健康・フィットネストラッキング、オーディオ体験の向上など、音声以外の機能を提供する必要があります。
※本プレスリリースは2020年8月31日の米国IDC(マサチューセッツ州 フラミンガム)による発表の日本語訳の抄訳をベースとしています。
<参考資料>
2020年第2四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率
Company | 2020年第2四半期出荷台数 | 2020年第2四半期 出荷台数シェア | 2019年第2四半期出荷台数 | 2019年第2四半期出荷台数 シェア | 対前年 成長率 |
1. Apple | 29.4 | 34.2% | 23.5 | 31.1% | 25.3% |
2. Huawei | 10.9 | 12.6% | 6.9 | 9.1% | 58.0% |
3. Xiaomi | 10.1 | 11.8% | 8.9 | 11.8% | 13.5% |
4. Samsung | 7.1 | 8.3% | 7.1 | 9.4% | 0.9% |
5. Fitbit | 2.5 | 2.9% | 3.5 | 4.6% | -29.2% |
Others | 26.1 | 30.3% | 25.7 | 34.0% | 1.6% |
TOTAL | 86.2 | 100.0% | 75.5 | 100.0% | 14.1% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 9/2020
2020年第2四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率(腕時計型とリストバンドのみ)
Company | 2020年第2四半期出荷台数 | 2020年第2四半期 出荷台数シェア | 2019年第2四半期出荷台数 | 2019年第2四半期出荷台数 シェア | 対前年 成長率 |
1. Huawei | 8.1 | 24.0% | 5.5 | 15.7% | 45.8% |
2. Xiaomi | 6.9 | 20.4% | 5.9 | 16.8% | 16.6% |
3. Apple | 5.8 | 17.1% | 5.1 | 14.4% | 13.7% |
4. Fitbit | 2.5 | 7.3% | 3.5 | 9.8% | -29.3% |
5. Garmin | 1.5 | 4.5% | 1.7 | 4.7% | -8.5% |
Others | 9.0 | 26.7% | 13.6 | 38.6% | -34.0% |
TOTAL | 33.7 | 100.0% | 35.3 | 100.0% | -4.4% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 9/2020
2020年第2四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率
Company | 2020年第2四半期出荷台数 | 2020年第2四半期 出荷台数シェア | 2019年第2四半期出荷台数 | 2019年第2四半期出荷台数 シェア | 対前年 成長率 |
1. Apple | 108.3 | 77.0% | 52.5 | 40.4% | 106.2% |
2. Sony | 5.8 | 4.1% | 11.8 | 9.1% | -51.4% |
2. Huawei | 5.7 | 4.0% | 1.7 | 1.3% | 230.9% |
2. Garmin | 4.4 | 3.1% | 8.3 | 6.4% | -47.1% |
5. Fitbit | 4.0 | 2.8% | 3.6 | 2.8% | 11.0% |
Others | 12.5 | 8.9% | 52.1 | 40.0% | -76.1% |
Total | 140.6 | 100.0% | 130.0 | 100.0% | 8.1% |
Note: IDCでは1%以下の差は統計上の誤差に含まれるものとみなし、順位については同一順位として扱います。
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 9/2020
2020年第2四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率(腕時計型とリストバンドのみ)
Company | 2020年第2四半期出荷台数 | 2020年第2四半期 出荷台数シェア | 2019年第2四半期出荷台数 | 2019年第2四半期出荷台数 シェア | 対前年 成長率 |
1.Apple | 12.8 | 42.5% | 10.9 | 39.1% | 18.3% |
2.Huawei | 4.7 | 15.6% | 1.7 | 6.0% | 182.0% |
2.Garmin | 4.4 | 14.6% | 8.3 | 29.9% | -47.1% |
4.Fitbit | 4.0 | 13.2% | 3.6 | 12.9% | 11.0% |
5.Xiaomi | 1.4 | 4.7% | 0.4 | 1.4% | 273.7% |
Others | 2.9 | 9.4% | 3.0 | 10.8% | -4.7% |
Total | 30.2 | 100.0% | 27.8 | 100.0% | 8.7% |
Note: IDCでは1%以下の差は統計上の誤差に含まれるものとみなし、順位については同一順位として扱います。
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 9/2020
Coverage
Companies Covered
Garmin Ltd., Fitbit Inc., Huawei Technologies Co., Ltd., Xiaomi Inc., Apple Inc., Samsung, Sony Corporation