
05 Jan 2021
2020年第3四半期 世界/国内ウェアラブルデバイス市場規模を発表
Japan, 2021年1月5日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年第3四半期(7月~9月)のウェアラブルデバイスの世界および国内における出荷台数を発表しました。
IDCが発行するWorldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q3のデータに基づくと、2020年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比35.1%増の1億2503万台となりました。このうち、腕時計型は3,290万台の出荷で前年同期比36.2%の増加、リストバンド型は2,193万台の出荷で前年同期比9.4%の増加となり、耳装着型デバイス(音声アシスタント対応イヤフォン・ヘッドフォンなど)は6,975万台で前年同期比47.7%の成長となりました。耳装着型デバイスは市場全体の55.8%を占めています。
「多くの国が第3四半期に外出等の規制緩和と経済活動の開放を行ったことでアウトドア活動が活発化し、ウェアラブルの需要も高まった」と米国IDC Mobile Device Tracker のリサーチマネージャー ジテシュ・ウブラニは述べています。これに続けて「一方で、多数のベンダーが提供するデバイスの価格帯の幅が広がり、これは誰もが利用できるものがあることを意味している」としています。
「二桁の成長は強い需要を示すだけでなく、多くの人が新興市場と先進市場の両方で初めてウェアラブルデバイスを手にしたことを示唆している」と米国IDCのモバイルデバイスならびにAR/VRのリサーチディレクターであるレイモン・リャマスは述べています。また、「このことが意味するのは、今後はウェアラブルデバイスのユーザーのインストールベースが拡大し、数年後にはデバイスの買い替えの機会が増えるということである。耳装着型や腕時計型あるいはリストバンド型のように複数のデバイスを所有しているユーザーもいるため、ウェアラブル市場は大きな需要を持続的に享受できるだろう」と述べています。
Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q3では、国内のウェアラブルデバイス出荷台数についても公表しています。
同Trackerの2020年第3四半期データによると、国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で176.3万台となり、前年同期比2.8%の増加となりました。腕時計型デバイスは62.2万台で前年同期比9.7%増、リストバンド型は17.5万台で前年同期比149.4%増、耳装着型デバイスは87.6万台で前年同期比9.2%減となりました。
「緊急事態宣言が終了した第3四半期だったが、都市部では新型コロナウイルス感染症拡大の第2波が起きたため、市場の拡大は小幅なものにとどまった」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓 はコメントしています。さらに「ウェアラブルデバイス市場が今後も着実な成長を続けるためには、ネクストノーマルの生活環境においてユーザーの健康と安全を確保するのに資するものであることはもちろん、ユーザーの生活における利便性を具体的なユースケースを通じて示していくことが必要だろう」と述べています。
カンパニー別動向(世界市場)
アップルは当四半期33.1%のシェアで市場を牽引しました。AirPodsとApple Watchは、パンデミック需要に牽引されて大きな人気を博しました。また、AppleはApple Watchのラインアップを拡充しており、Watch SEなどのミドルレンジの新製品を含め、複数の価格帯でデバイスを提供しました。
Xiaomiは2位で1,700万台を出荷し、そのうち1,280万台はリストバンド型でした。低価格帯と海外展開が相まって、前年比26.4%増と躍進しました。
Huaweiは1,370万台の出荷で3位にランクインしました。米国の制裁に直面し、中国に出荷が集中しているにもかかわらず、複数の市場で成長を牽引することができました。しかし、同社の時計はグーグルに依存しておらず、部品の多くは米国以外のベンダーから調達しているため、同社のウェアラブル事業へのマイナスの影響は他の分野に比べて少ないと言えます。
サムスンは、複数のブランドで耳装着型デバイス市場を攻める戦略が功を奏し、ウェアラブル市場で4位にランクインしました。当四半期には、スマートウォッチが260万台、耳装着型デバイスの出荷台数は840万台に達しました。韓国の電子機器メーカーである同社は、スマートフォンとウェアラブルのバンドル化を継続しており、少なくともスマートウォッチについては、商業用セグメントへの投資を継続していますが、これはスマートウォッチブランドの中では非常に少ない戦略です。
FitbitとBoAtは、それぞれウェアラブル市場の2.6%を占め、5位に同率で並びました。Fitbitは、第3四半期末近くに発売した新製品の評価が比較的高く、旧モデルの値下げもあり、トップ5圏内にとどまっています。一方、BoAtは、インド市場(ウェアラブル市場として急成長している市場)にのみ注力し、主に耳装着型デバイスを販売しています。インドのロックダウン後も、同社は強力なマーケティングキャンペーンを行い、地元のクリケットチームとのタイアップなどの恩恵を受けています。同社の野心は依然として強いものの、多くの競合他社のようなグローバルなプレゼンスとサプライチェーンには欠けています。
今回の発表はIDCが発行したIDC Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2020Q3にその詳細が報告されています。
※「カンパニー」とは、IDCの調査レポート期間において、期間内に発生した買収・統合の結果を反映する財務・法務的な企業ないし企業グループを指します。IDCではあたかもこの企業グループが過去全ての調査期間に渡って存在していたかのごとく取り扱います。こうすることで、買収・統合前後の成長率などのトレンド分析が簡単、明瞭になります。なお、カンパニーにはOwnershipが含まれますが、持ち株会社のように実質的に事業を行っていない会社は、除外します。
※ IDCの定義では、耳装着型デバイスがウェアラブルとみなされるためには、スマートアシスタント、健康・フィットネストラッキング、オーディオ体験の向上など、音声以外の機能を提供する必要があります。
※本プレスリリースは2020年12月2日の米国IDC(マサチューセッツ州 フラミンガム)による発表の日本語訳の抄訳をベースとしています。
<参考資料>
2020年第3四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率
Company | 2020年第3四半期 出荷台数 | 2020年第3四半期 出荷台数 シェア | 2019年第3四半期出荷台数 | 2019年第3四半期 出荷台数 シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 41.4 | 33.1% | 29.8 | 32.2% | 38.6% |
2. Xiaomi | 17.0 | 13.6% | 13.4 | 14.5% | 26.4% |
3. Huawei | 13.7 | 11.0% | 7.3 | 7.9% | 87.2% |
4. Samsung | 11.2 | 9.0% | 8.5 | 9.2% | 32.2% |
T5. Fitbit | 3.3 | 2.6% | 3.5 | 3.8% | -6.2% |
T5. BoAt | 3.3 | 2.6% | 0.8 | 0.8% | 316.9% |
Others | 35.3 | 28.2% | 29.2 | 31.5% | 20.8% |
Total | 125.0 | 100.0% | 92.5 | 100.0% | 35.1% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 1/2021
2020年第3四半期 世界ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:百万台)および対前年成長率(腕時計型とリストバンドのみ)
Company | 2020年第3四半期 出荷台数 | 2020年第3四半期 出荷台数 シェア | 2019年第3四半期出荷台数 | 2019年第3四半期 出荷台数 シェア | 対前年成長率 |
1. Xiaomi | 13.5 | 24.5% | 10.5 | 23.8% | 27.8% |
2. Apple | 11.8 | 21.6% | 6.8 | 15.3% | 75.0% |
3. Huawei | 10.7 | 19.5% | 5.7 | 12.9% | 88.1% |
4. Fitbit | 3.3 | 5.9% | 3.5 | 7.9% | -6.4% |
5. Samsung | 2.8 | 5.1% | 2.8 | 6.2% | 1.8% |
Others | 12.8 | 23.3% | 15.0 | 33.9% | -14.7% |
Total | 54.8 | 100.0% | 44.2 | 100.0% | 24.0% |
Note: IDCでは1%以下の差は統計上の誤差に含まれるものとみなし、順位については同一順位として扱います。
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 1/2021
2020年第3四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率
Company | 2020年第3四半期 出荷台数 | 2020年第3四半期 出荷台数 シェア | 2019年第3四半期出荷台数 | 2019年第3四半期 出荷台数 シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 127.9 | 72.6% | 108.1 | 63.0% | 18.4% |
2. Sony | 8.3 | 4.7% | 14.6 | 8.5% | -43.4% |
3. Fitbit | 6.2 | 3.5% | 3.6 | 2.1% | 72.1% |
4. Garmin | 6.1 | 3.4% | 8.2 | 4.8% | -26.5% |
5. Huawei | 5.7 | 3.2% | 0.9 | 0.5% | 550.8% |
Others | 22.2 | 12.6% | 36.2 | 21.1% | -38.8% |
Total | 176.3 | 100.0% | 171.6 | 100.0% | 2.8% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 1/2021
2020年第3四半期 国内ウェアラブルデバイス市場 トップ5カンパニー出荷台数(単位:万台)および対前年成長率(腕時計型とリストバンドのみ)
Company | 2020年第3四半期 出荷台数 | 2020年第3四半期 出荷台数 シェア | 2019年第3四半期出荷台数 | 2019年第3四半期 出荷台数 シェア | 対前年成長率 |
1. Apple | 51.6 | 64.8% | 44.7 | 70.2% | 15.5% |
2. Fitbit | 6.2 | 7.8% | 3.6 | 5.7% | 72.1% |
3. Garmin | 6.1 | 7.6% | 8.2 | 12.9% | -26.5% |
4. Huawei | 5.0 | 6.3% | 0.8 | 1.2% | 540.7% |
5. Xiaomi | 3.9 | 4.9% | 0.1 | 0.2% | 3,020.0% |
Others | 6.9 | 8.6% | 6.2 | 9.8% | 9.8% |
Total | 79.7 | 100.0% | 63.7 | 100.0% | 25.1% |
※端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾が一致しません。
Source: IDC Japan, 1/2021
Coverage
Companies Covered
Garmin Ltd., Fitbit Inc., Huawei Technologies Co., Ltd., Xiaomi Inc., boAt, Apple Inc., Samsung, Sony Corporation